半分の月がのぼる空
アニメ版の「半分の月がのぼる空」を見ました。
映画を見た後だったので、同じようなストーリーをなぞることになるかと思っていた。
しかし実際に見始めるとすぐに要所の展開が違っていて、とても楽しめた。
祐一と里香が恋愛に発展しはじめるのは急展開だけど、
特殊な状況において、ありえなくはない展開であり、出会いとはこういうものともいえる。
里香の心の変化が美しく、そして儚い。
死ぬことを覚悟して、苦しまないように生きてきたのに、祐一と出会うことによって、死ぬことが怖くなった。
その変化を夏目(先生)は複雑に受け止める。
里香は苦しまないで死ぬことができたかもしれないのに、
いつか苦しむ2人が目の前に出来上がってしまったのだから。
夏目は愛し合ったあげくに訪れる死を受け止める苦しみを知っている。
まるで子供のように2人を引き裂こうとする行為には意味があった。
「恋」の状態で2人を苦ませ、「恋」のうちに終らせてあげたかったから。
里香が祐一に渡した「チボー家の人々」からの引用である、
「命をかけてきみのものになる」は里香にとって命をかけた愛の告白だ。
最後、長くはない、でも短くもない里香の人生を、祐一は受け止め、支えることにした。
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アニメ作品としての感想は、里香のかわいさ以外は、
最近の高品質なアニメに見慣れてしまったいるからか、非常にチープな印象だった。
比較してはいけないかもしれないけど、P.A.WORKSを例にとると、
true tearsやAngel Beats!やドラマを感じられるけど、この作品はアニメを見ている感じ。
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最後に、この作品で一番心に残ったことといえば、エンディング曲の「記憶のカケラ」である。
この曲に出会えただけでも、アニメを見た価値がある。
歌詞、ボーカル、メロディ、すべてが神がかっている。
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